ツルハシブックスとは、人生の通過地点である。
以前よく来ていたお客さんが最近パッタリ来ないなぁ、という経験がよくある。でもそれを私自身あまりネガティブに捉えていないのは、この場所が人生の通過地点だと思っているからだろう。
学級文庫に置きますといって本を買っていたあの先生、店づくりを手伝ってくれた美術部のあの子、本を読みあさりモヤモヤと向き合っていた大学生の彼…それぞれがそれぞれのタイミングでツルハシブックスと出会い、あの扉を開ける。
長い人生の中で、たまたま通りすがっただけだった。居心地がよくて長居する人もいれば、ここで次の旅の準備をして行く人もいる。
旅立った後は存在すら忘れてしまうのかもしれない。でも、ふとしたときに、そういえば変な店に行ったことがあったな、と思い出してもらえたら嬉しい。そして私自身も、変な店で働いていたな、と思い出すのだろう。
元店員サムライ 今井あゆみ
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