今井 あゆみ ≫ 森絵都『永遠の出口』
中学だか高校のとき、図書館でたまたま手に取った単行本になんとなく惹かれて借りたことがある。それが「永遠の出口」だった。この小説は一人の少女の小学校時代から高校を卒業するまでの物語を描いている。ただ、それだけだ。不思議の世界に行くファンタジーでもなければ、メッセージ性のある人生論を説くものでもない。
この本が不思議なのは、まるで自分の過去を読んでいるかのような懐かしさを覚えるところだ。もちろん、ここで描かれている物語そのままを経験したわけではない。しかし、そこには確かにあの頃の自分がいるのである。
学校と先生が全てだった小学校時代。好きな人を友達と共有するドキドキ感。反抗して不良になるには物足りない家庭事情。初めてのアルバイトで経験する人間関係。学校卒業を前にして描くロマン。
誰もがきっと、平凡な日常の中に波乱万丈を持っている。私もそんな時代があったなぁと、そしてまた色んな未来が待ち受けてるんだろうなぁと思える一冊である。
あなたの人生も、平凡で、やっかいで、素晴らしい!
スキなイチブン
どんな未来でもありえたのだ、と今となっては思う。徐々に探りあてたそれぞれの道のどこかに今、たどりついている。
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